その他によく診療する皮膚疾患を記載しています。もちろん、ここに書いていある以外にも、さまざまな皮膚の病気がございますので、気になることがあればご相談ください。

いぼ

いぼには、加齢性のものと、ウイルス性のものがあります。液体窒素での冷凍凝固や、飲み薬、塗り薬で治療いたします。頭・顔・体・四肢どこでもでますし、ウイルス性のものは広がりやすい場合もあります。冷凍凝固は色素沈着リスクがありますので、ご説明し同意をいただいた上で、できる限りそういうことが起こらないよう、場所によって肌質によって、気をつけて行うよう心がけています。イボに似た皮膚腫瘍もありますので、疑わしい場合は皮膚生検で評価いたします。

水虫

いわゆる水虫は足の真菌(かび)症をさします。かびには大まかに白癬菌とカンジダ菌があり、顕微鏡で見分けます。かびは足や爪だけでなく、顔にも股にも体にも出ます。効く薬、部位別の治療方法が少しずつ異なります。かびの診療は簡単なようで奥が深く、長らく湿疹として間違って治療されていることもあります。

たこ・うおのめ・爪変形・巻き爪

たこ削り、うおのめ取り、爪切りで気をつけていることは、きちんと必要十分にとり出血させない、ということです。定期的な爪切りのみでも気兼ねなく御相談ください。巻き爪・陥入爪は保険診療(抗生剤内服および外用治療・ガター法・コットンパッキング・フェノール法)と自費治療(マチワイヤー治療・マチプレート治療)を状態によってご提案します。自費の項目もご参照ください。

かぶれ

かぶれは、外からの皮膚への刺激に対しておきる湿疹の一つで、正式には接触皮膚炎といいます。酸やアルカリなど、その物質に触れた大部分のひとが症状を起こす刺激性接触皮膚炎と、その物質に対するアレルギーがある人にのみ起こるアレルギー性接触皮膚炎の2種類があります。よく診るのは後者で、湿布薬・ゴム・金属・化粧品・毛染め・草木などの身近な物質が原因となりえます。原因物質に繰り返し接触しているうちに”かぶれ反応”が成立するため起こります。しばし、「これまで使ってきて大丈夫だったから大丈夫」「前から使っていたから安心」とお話しされますが、むしろ前から使っていた中でかぶれるようになるので、これまで使用してきた化粧品を含めて見直す必要があります。触れる回数が多いほどだんだん症状が悪化しますので、薬で一時的に治療するだけではダメで、できる限り原因を取り除かなければなりません。症状に応じてパッチテストなどを併用して調べていきます。

眼瞼炎・目薬かぶれ

花粉、黄砂、PM2.5などのさまざまな外的刺激でとくに皮膚の薄い眼瞼は炎症を起こしやすいです。また、目薬でのかぶれも良く診察します。みなさん困っておられるのですが、なかなか眼科と皮膚科で連携が取れないことから、目薬を変えてもらいにくく皮膚炎が治りにくいことも多いです。弱すぎるステロイド外用では湿疹が治らないこともありますし、ステロイド外用で眼圧があがる方もおられますので、そのような場合は薬の選択を行います。涙道(涙の流れる管)のつまりが原因の涙かぶれの場合は、皮膚科だけでなく眼科の治療がひつようです。眼瞼炎で長引くものは原因検索や薬の選択が大切です。当院は一階の西北ほそだ眼科と連携を取っておりますので、目薬かぶれでお困りの際はご相談ください。

円形脱毛症

円形脱毛症は突然、頭に丸い脱毛斑が生じる疾患です。多発することもあり、頭全体さらには全身の毛が抜けたりもします。かつてはストレスが原因と考えられていましたが、多くは関係なく発症する、毛髪に対する自己免疫性の疾患です。早期の場合はステロイドの外用、慢性・固定性の脱毛斑の場合はステロイドの局所注射や紫外線治療を行います。急に広がってくる場合や多発する場合は、積極的な介入が必要で、必要に応じて総合病院にご紹介いたします。

ヘルペス

ヘルペスには主に帯状疱疹・単純ヘルペスがあります。帯状疱疹は水ぼうそうと同じVZVウイルス、単純疱疹(単純ヘルペス)はHSVウイルス、というそれぞれ少し種類の異なるヘルペス属の感染症で生じます。どちらも内服薬でできる限り早期に治療開始することが大切ですので、気になる皮疹がございましたらご相談下さい。
帯状疱疹はワクチンがあり、50歳以上は特に帯状疱疹の発症リスクが高くなる傾向があるため、接種対象となっています。自費でのご負担となり、少しお高いのですが発症・重症化の予防効果も高いです。帯状疱疹は場合によっては入院することもあり、跡残りや神経痛の後遺症もかなり多い疾患ですので、ぜひご考慮下さい。当院では効果の高い不活化ワクチンのシングリックスのみを施行しております(2カ月間隔で2回接種、22000円/回)。

腋汗・手汗

脇汗(原発性腋窩多汗症)は保険診療で治療が可能です。以前まではよく、塩化アルミニウム液を院内・薬局内調剤し販売しておりましたが、販売場所が少ないことや、よくかぶれたりすることも問題でした。ラピフォートワイプ、エクロックゲルは、原発性腋窩多汗症に対して有効な新しい治療となります。下記サイトもお役立てください。また、手汗(原発性手掌多汗症)についても、保険診療の新薬、アポハイドローションが2023年5月末より発売いたしましたのでお役立てください。
【サイト名】脇汗スッキリProject
【URL】https://www.maruho.co.jp/kanja/wakiase/

皮膚がん(日光角化症・ボーエン病・基底細胞癌・メラノーマなど)

湿疹に似た外観の、皮膚の前がん状態や表皮内癌である日光角化症やボーエン病、黒い色の腫瘍として発見されることの多い基底細胞癌や悪性黒色腫、なかなか治らない皮膚潰瘍として発見される有棘細胞癌など、皮膚には時に悪性皮膚腫瘍が生じます。ダーモスコピーという器具を用いて詳細に観察し、悪性が疑われる場合は皮膚生検で判別したり、かなり疑わしい場合は総合病院へ御紹介します。

うっ滞性皮膚炎

治りにくい下腿の湿疹のなかで、うっ滞性皮膚炎と呼ばれる病気があります。長年の立ち仕事や肥満等の影響で、血液が静脈から戻って行きにくくなることで、膝より下の部分に血液・体液がたまってしまい、赤み・かゆみ、色素沈着、皮膚が硬くなる、などの症状が生じます。ひどい場合は皮膚潰瘍が生じます。一般的によく見る病気で、”足がむくみやすい”という方は要注意です。症状が強かったり、急に出てきたりする場合は、総合病院で静脈の血栓等ができていないかの検査が必要です。医療用弾性ソックスで増悪の予防が可能で、当院でも販売しております。

皮膚血管炎

皮膚には、太い血管から表面の細かい血管まで、無数の血管が走行しており、”血管炎”が見た目として現れやすい臓器です。頻度が高いものはIgA血管炎という、両足に急に少し膨らんだ赤いブツブツが出てくる病気です。同じ様に細かい血管が多い、腎臓や腸管も同時に症状が出ることがあり、尿検査や血液検査が必要となります。症状が強い場合は総合病院で血栓症・血管炎系の網羅的検査が必要です。風邪のあとに症状がでてくることもあり、溶連菌の検査を行うこともあります。